Saturday, October 07, 2006

世界で魚の消費拡大、国内価格は上昇 「買い負け」も
2006年10月08日08時00分
 世界で魚の消費が拡大している。欧米では、牛海綿状脳症(BSE)や鳥インフルエンザによる食肉不安から魚介類に目が向いて需要が広がり、経済発展の著しい中国も消費を伸ばす。あおりを受けるのが水産物の輸入大国・日本。高値をつける欧米やアジア勢に買い負けることも珍しくなく、日本の輸入量は減り、国内価格は上昇している。
 水産大手マルハの担当者はこの夏、米アラスカ産紅ザケの輸入商談で、ほとんど買い付けられなかった。「予定価格はいえませんが、相手の言い値がキロ当たり50円ほど高かったから」という。
 担当者の念頭にある取引先はスーパーや一般的なすし店だ。
 国内スーパーは、高値なら店頭に置かなくなるか、点数を減らす。すし店にしても、サーモンをトロやウニより高い値段では出せない。値段を据え置けば採算がとれないからメニューから外す。
 マルハにすれば高値で買っても、納入できずに在庫を抱えることになりかねない。チリの養殖アトランティックサーモンやトラウト(マス)も昨春から値が上がり始めた。三枚におろしたトラウトは6割ほど高くなり、今春には1キロ1000円を超えた。「この値段はもう限界に近い」と同社。
 北米産のギンダラも水産大手の日本水産が今年上期に国内で販売したのは約250トン。去年の上期より100トン余り少ない。価格上昇が理由だ。
 水産庁が今夏、米国からの水産物買い付け価格の推移を調べたところ、ギンダラは03年以降に日本が買い負けするようになり、04年にドイツがつけたのは1トン8000ドル超。日本とは2000ドル以上の差がついた。
 カマボコなどの原料になるスケトウダラのすり身やタラバガニやズワイガニでも韓国やカナダなどの方が高値をつけて買い取っている。
 海外諸国が高値でも買うのは、魚の消費が拡大しているからだ。1人当たりの年間消費量(国連食糧農業機関のデータを基に水産庁が計算)は、高成長が続く中国が25キロ(00~02年の平均値)で、30年前の5.3倍になった。北米も5割近く増えて22キロ、欧州連合(EU)も25.8キロで3割増えた。
 BSEの人への感染が問題になった96年を境に欧州で魚の消費量が拡大し始め、さらに03年以降、鳥インフルエンザがアジア、ロシア、欧州の一部に広がって、消費拡大に拍車をかけた。北米では健康志向の高まりが、中国は所得水準の向上が、消費拡大の要因だと水産関係者はいう。
 日本の魚消費の4割余りが輸入ものだ。その輸入が減って、国内で取り扱う水産物の総量も減っている。
 農林水産省によると、東京、大阪など10都市の中央卸売市場で7月に取り扱われた水産物の総量は約14万トンで前年同月より6%減った。前年割れは昨年9月から11カ月連続。
 一方、価格は上昇基調だ。総卸売価格(すべての水産物のキロ当たり価格)が9カ月連続で前年水準を上回っており、今年2月以降は3~8%高で推移している。
 魚種別にみると、マグロ(生鮮)の値上がりが目立っており、1~7月のキロ当たりの平均価格は前年同期比24%高の2942円。サバ類(冷凍)21%高の509円、マス類(同)は19%高の712円、サケ類(同)は11%高の612円、すり身(同)10%高の326円、などだ。
 水産庁は「養殖に適した海域も限られ、膨らむ世界の需要を満たすほど魚を増やすのは難しい。長期的に需給が引き締まり高値が続く」とみる。
 小売価格の動向はどうか。大手スーパーのイトーヨーカ堂は「消費者に敬遠されるので売値を上げられず、全体的にはまだ上がっていません。流通の各段階でそれぞれが値上がり分を負担してがまんしている状況です」(鮮魚部)と話す。
 それでも、がまんしきれないものも出ている。マグロは夏ごろから100グラムあたり200円台後半から300円後半に100円ほど上がったという。年末にかけて、「マグロやエビなどは例年以上に高くなりそう」とみている。 世界で魚の消費拡大、国内価格は上昇 「買い負け」も
2006年10月08日08時00分
 世界で魚の消費が拡大している。欧米では、牛海綿状脳症(BSE)や鳥インフルエンザによる食肉不安から魚介類に目が向いて需要が広がり、経済発展の著しい中国も消費を伸ばす。あおりを受けるのが水産物の輸入大国・日本。高値をつける欧米やアジア勢に買い負けることも珍しくなく、日本の輸入量は減り、国内価格は上昇している。
 水産大手マルハの担当者はこの夏、米アラスカ産紅ザケの輸入商談で、ほとんど買い付けられなかった。「予定価格はいえませんが、相手の言い値がキロ当たり50円ほど高かったから」という。
 担当者の念頭にある取引先はスーパーや一般的なすし店だ。
 国内スーパーは、高値なら店頭に置かなくなるか、点数を減らす。すし店にしても、サーモンをトロやウニより高い値段では出せない。値段を据え置けば採算がとれないからメニューから外す。
 マルハにすれば高値で買っても、納入できずに在庫を抱えることになりかねない。チリの養殖アトランティックサーモンやトラウト(マス)も昨春から値が上がり始めた。三枚におろしたトラウトは6割ほど高くなり、今春には1キロ1000円を超えた。「この値段はもう限界に近い」と同社。
 北米産のギンダラも水産大手の日本水産が今年上期に国内で販売したのは約250トン。去年の上期より100トン余り少ない。価格上昇が理由だ。
 水産庁が今夏、米国からの水産物買い付け価格の推移を調べたところ、ギンダラは03年以降に日本が買い負けするようになり、04年にドイツがつけたのは1トン8000ドル超。日本とは2000ドル以上の差がついた。
 カマボコなどの原料になるスケトウダラのすり身やタラバガニやズワイガニでも韓国やカナダなどの方が高値をつけて買い取っている。
 海外諸国が高値でも買うのは、魚の消費が拡大しているからだ。1人当たりの年間消費量(国連食糧農業機関のデータを基に水産庁が計算)は、高成長が続く中国が25キロ(00~02年の平均値)で、30年前の5.3倍になった。北米も5割近く増えて22キロ、欧州連合(EU)も25.8キロで3割増えた。
 BSEの人への感染が問題になった96年を境に欧州で魚の消費量が拡大し始め、さらに03年以降、鳥インフルエンザがアジア、ロシア、欧州の一部に広がって、消費拡大に拍車をかけた。北米では健康志向の高まりが、中国は所得水準の向上が、消費拡大の要因だと水産関係者はいう。
 日本の魚消費の4割余りが輸入ものだ。その輸入が減って、国内で取り扱う水産物の総量も減っている。
 農林水産省によると、東京、大阪など10都市の中央卸売市場で7月に取り扱われた水産物の総量は約14万トンで前年同月より6%減った。前年割れは昨年9月から11カ月連続。
 一方、価格は上昇基調だ。総卸売価格(すべての水産物のキロ当たり価格)が9カ月連続で前年水準を上回っており、今年2月以降は3~8%高で推移している。
 魚種別にみると、マグロ(生鮮)の値上がりが目立っており、1~7月のキロ当たりの平均価格は前年同期比24%高の2942円。サバ類(冷凍)21%高の509円、マス類(同)は19%高の712円、サケ類(同)は11%高の612円、すり身(同)10%高の326円、などだ。
 水産庁は「養殖に適した海域も限られ、膨らむ世界の需要を満たすほど魚を増やすのは難しい。長期的に需給が引き締まり高値が続く」とみる。
 小売価格の動向はどうか。大手スーパーのイトーヨーカ堂は「消費者に敬遠されるので売値を上げられず、全体的にはまだ上がっていません。流通の各段階でそれぞれが値上がり分を負担してがまんしている状況です」(鮮魚部)と話す。
 それでも、がまんしきれないものも出ている。マグロは夏ごろから100グラムあたり200円台後半から300円後半に100円ほど上がったという。年末にかけて、「マグロやエビなどは例年以上に高くなりそう」とみている。

asahi.comより

 今まで安いイメージの魚が高くなったら売れないね。国内の魚が主流になってくるかな?

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